五井せんせい
――わが師と歩み来たりし道
髙橋英雄 著
定価 1815円(本体1650円+税10%)
B6判 並製
ISBN 978-4-89214-214-7
私は思う。かつて、地上に、このようなお方が存在しただろうか。「世界平和の祈り」の提唱者である五井昌久の直弟子の一人として、師に従い師とともに歩んだ日々。胸の奥に刻まれた師のあたたかいことばと姿、その清冽なる生きざま、そして永遠の真理を後世に語り伝える。
内容紹介
私の心の中には、一切、恐怖の想いもない。
不平不満の想いもない。何にもないんだ。
たゞ何もない、と言ったんじゃ
お愛想がないんで、愛ばかり、と言うけどね。
本当は何もない。 「第六章 全託について」より
(目次)
はじめに
序 章 戻れない道
第一章 『神と人間』出版される
第二章 母と子
第三章 美登里(みどり)奥さまのこと
第四章 五井先生が畏敬した大聖
第五章 光明の合体
第六章 全託について
第七章 一言(いちごん)の力、一言(いちごん)の光
第八章 五井先生の縄跳び ー ある日のお姿
第九章 書(しょ)について
第十〇章 宇宙の翁(おきな)の白いひげ
第十一章 その晩年のこと
終 章 ご帰神まで
あとがき
はじめに
五井先生は宗教家である。そして芸術家である。先生が私たちに教えてくださった“消えてゆく姿”という言葉は、仏教では“諸行無常”ということになるが、ここには無常というような厭世的なひびきはない。あるのは人間が変化変滅する宇宙とともに、常に新しきものを創造し続けていくのだ、という自由と光明溢れるひびきだ。それは五井先生の宗教精神と 芸術精神がまったくひとつになったところから生まれたものである。
人類救済の神々は、肉体世界に生きるこの宗教家、芸術家のからだを、大浄めの器としてお使いになった。
「私の肉体を使うことによって、地球と人類が幽界の様相のまま滅びることなく、私の苦痛によってそれが消えてゆくことはありがたいことだ」
先生はそうおっしゃって感謝されていた。
それが神のみ心であれば仕方ない。先生をおそばで見てきた私には、先生のようないのちの投げ出し方はできない。全託しきれていない、全託できない自分を、消えてゆく姿として祈りの中に投げ入れ続けている。「先生のようにはできません、ごめんなさい」と謝りつつ、世界平和の祈りを祈り、五井先生の名をお呼びしている。
これから、自叙伝『天と地をつなぐ者』以降の五井先生の生涯を、エピソードを交えて私の知っているかぎりを綴ってゆきたい。
著者紹介
髙橋英雄 (たかはし ひでお)
高校生の時、肺結核を発病。それが機縁で五井昌久先生に帰依。1954年、白光誌創刊。以来、白光真宏会の編集・出版に従事、編集長、出版局長、副理事長を歴任し、1999年退任。