村田氏は巷間の霊能者にあり勝ちな、奇異な行動や性格異状的な日常生活など全く見当らぬ、誠実にして朴訥(とつ)なる、あたかも純真なる農家の主人のような風格の人である。
村田氏が稀有(けう)なる霊能を有するなどとは、一見したぐらいではとても思えない人柄である。
しかしその霊能は、母親譲りのものであって、幼い頃から、眼に見えぬ世界との交流が烈しく、随分苦しんだことがあったもののようである。
村田氏は私との親交が厚くなるに従って、守護の神霊の加護を深く信ずるようになり、その霊能力は一段と輝きを増し、神界、霊界、幽界という、そういう五感に感ぜぬ世界の体験が深まると同時に、宇宙人との交流にも長じて、空飛ぶ円盤同乗記なども、アダムスキーよりも或る部面ではくわしいぐらいに書きつづった文章も あるのである。
何んにしても不思議な人であるが、その不思議さが少しも表面に現われていない、 平凡な風格をしていることが、有難いことだと思う。奇妙な雰囲気をもつ霊能者の多くある中で、こういう普通人と少しも変らない、普通人よりもっと常識的な日常生活を営んでいる、非凡な霊能者のあることは、嬉しいことである。
本書は、そういう人格をもつ村田氏が、知人の島田ゆうさんを霊界に尋ねて、種々と霊界の消息を伝え、少しでも人々を死への恐怖から救おうとして書かれたもので、死後の世界を知る上においては、貴重なる書物である。
人間は肉体だけをもった生物(いきもの)ではない。肉体というものは、人間という生命が、 一時の間纏っている着物にすぎない。その着物が汚れたり破れたりすれば、当然他の着物に着かえなければならぬように、汚れ破れた着物は脱ぎ捨てられる。 肉体とはそういうものである。そして、肉体を脱ぎすてた、本体(生命)は、霊体或いは幽体をつけて死後の世界の生活をつづけてゆくのである。人間生命の真理を知っている者にとっては、生も死も無いのであって、只、永遠の生命の限りなき創造があるのみなのである。本書はそういう真理を絵巻物のように知らせてくれる。真理を 求むる者必読の書である と私は思ってこの書を推薦するものである。
昭和四十二年八月
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